Genius Hour Project: アンケートの分析

Genius Hour Project
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みなさん、こんにちは。日本語教師のHinakoです。Genius Hour Project(ジーニアスアワープロジェクト)の実践紹介。今回は「学生さんのプロジェクト経過報告の分析」、簡単にいうと、学生さんのプロジェクト学習の振り返りのためのアンケートのようなものについて書いていきたいと思います。プロジェクトを通してどんな風に学生さんが成長したのか、学生さんのこのプロジェクトの好きなとこ、嫌いなとこのコメントの紹介になります。

これまでのプロジェクトに関する記事はこちらで紹介させていただきました。まだ読んでいない方は是非こちらから読んでいただくと今回の内容がわかると思います。

0.グーグルフォームで経過報告の確認

前回の記事でもお話したと思いますが、プロジェクトは学生さんが自分のペースで1週間のうち、1時間分をするので、決まった締め切りというのはございません。自分でスケジュール管理するんです!! でも、締め切りがないと、どうなると思いますか。私もそうですが、恐怖の後回しというやつをしてしまうんですよね。だから、無理やり2週間に1回グーグルフォームで、計3回、途中経過報告をしてもらいました。ここからフォームでの質問内容を説明していきます。

1.質問:何を学びましたか。

これは、予想通り、「新しい言葉、フレーズ、表現、漢字」を学んだうえに、日本文化についても学ぶことができたという回答でした。

2.質問:自分の立てた目標を達成できましたか。

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自分の立てた目標が計画倒れになったことはだれでもありますよね。私も学生の時は計画立てるために膨大な時間を使い、完璧な計画表をみて結構満足して終わっていました。今回、学生さんたちは何コースも同時にとっているので他のクラスの課題も試験もてんこ盛りの中、このプロジェクトをしなければいけません。学期が後半になるにつれ、思うようにプロジェクトが進まなかったようです。そして一定数、どうしてもなかなか計画通りできない学生も一部いました。学生さんのコメントの中に、1週間1時間でいいとわかっているが、結局できない週もあり、次の週に繰り越してしたというコメントがありました。でも、それでいいと思いませんか。生涯教育の基本はそこにあると思います。自分のペースで調整しながらすればいいんです。大事なのは細く長く続けること。そういう調整する力も今回学んだようなので、よかったなと思いました。

3.質問:プロジェクトを楽しめましたか

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あれ?だんだん楽しくなくなってる。しまったーと思いました。理由は、記録を残すのに時間がかかったということです。覚えた単語のリストを作る、おもしろかった文化を文章化するのに2時間もかかったという子もいたぐらいです。コメントの中で、印象的だったのが、ドラマ好きの学生。

I usually like watching dramas and just go to the next episode, but through this project I had to replay and rewind a lot, so I rewatched some of the same parts multiple times. However, it was useful that I could learn more than if I just watched once.

何を学んだかを記録に残さないといけないので、何度も何度も同じパートを見なければいけなかった。まあ楽しさは半減しますよね。私も英語は「フレンズ」や「ビックバンセオリー」というドラマで勉強したんですが、何度も繰り返ししすぎると、大事なドラマ全体の内容が入ってこない、おもしろくないだろうなと思いました。実際私は聞き流してたことも多かったし。やっても、おもしろいフレーズをちょっと言ってみるぐらいでしたね。うーん、学んだことをどれぐらい、どのようにドキュメン化すればいいのか、塩梅が今後の課題です。

4.その他コメント:プロジェクトの嫌いなところ

とにかく時間がないよ―先生!他のクラスが忙しいんだよー。という声が多かったです。1週間に1時間とはいえ、知らない単語、漢字がたくさんで大変だった。時間がないのが嫌だった。それから、2-3人の子が書いてたのは、「日本語のフォント、フォーマット問題」縦書きがむずかしい。フォントがよめなくて時間がかかったなどの問題もありました。特に、マンガのフォント!感情表現や擬音語などでフォントが違ってくるので認識するのに時間がかかり苦労したとのことです。教科書体だけじゃなく、色々なフォントを読む練習も大事だなと思いました。

5.その他コメント:プロジェクトの好きなところ

「自分でトピックを選ばせてくれて、好きなことをさせてくれてありがとうございます」というコメントが多かったです。モチベーションが全然ちがうという声も多かったです。やらされてる感がないんですよね。そして、好きなことして、それが成績になるなんて、楽しかったというコメントがたくさんでした。自分が好きなことなら、楽しめるし、無理なく続けられるのかなと思います。しかし、自分が好きなことが日本語でもできるかというと、それはとってもむずかしかったようです。途中で難しすぎて簡単なのに切り変えなきゃいけなかった子もいれば、簡単な絵本も日本語で読めないのかと、自分の能力に絶望し絵本を読むのをやめた子もいました。自分のレベルにあったものを探す。また完璧を求めないなど、指導していく必要があると思いました

6.まとめ

このプロジェクトの強みは教室では教えられない事を学生さんがどんどん吸収できるということです。リスニングや読むのが早くなったと感じたり、漢字っておもしろいと発見した子!任天堂スイッチでいつもしている「あつ森」を日本語に変えても、すごいたのしかったという子。いつも英語で読んでたマンガが日本語で読めてたのしい!など彼らの生活の中にも変化があったようです。

最後にすごくうれしかったコメントを紹介させてください。

I love Japanese music in general, so I will keep on doing the same thing in the future.

日本の音楽が好きで、これからも(プロジェクトと)同じように勉強し続けたい!

これが本当に私の狙い。当たり前の話なんですが、先生というのはいつまでもだれかの先生であり続けることはできないんですよ。自分で自分にあった勉強方法を見つけてそれをずっと続けていく、先生はそういう学び方を教える必要があると思ってます。そもそも言語なんてエスカレーターを逆走するように習得していくと思いませんか。

白いコートを着た人がエスカレーターを逆送している_gifmagazine

簡単にいうと、上の動画の女の人みたいな感じ。頑張ってのぼっていけば、確実に上にたどり着きますが大変です。足もいたいですよ。逆走だから、のぼってる、つまり言語が上達している感覚もつかめない。でも、だからといって、登るのをやめると青や黒の服の人のように、能力はすーっと落ちていきます。言語は使わなかったら衰える一方ということです。ちなみに、この説明、くじけそうになった子などに説明すると納得してくれるのでおすすめですよ。ちょっと話はそれましたが、Genius Hour Projectが、こんなエスカレーターを軽々と登れる、ずっと続けられるような勉強方法を見つけるきっかけになればいいなと思ってます。そして「こんなおもしろい方法があるよー」と学生さん同士が紹介しあってまた勉強法のヒントを得ていくそんなプロジェクトです。

次回は、そんな学生さんが紹介しあった「自分のプロジェクトをTEDトークで売り込め!」について書きたいと思います。長くなりましたが、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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