Genius Hour Project: TEDトーク&相互評価

Genius Hour Project
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みなさん、こんにちは。日本語教師のHinakoです。

Genius Hour Project(ジーニアスアワープロジェクト)の実践紹介。今回はこのプロジェクトの評価「相互評価」についてお話します。

これまでのプロジェクトに関する記事はこちらで紹介させていただきました。まだ読んでいない方は是非こちらから読んでいただくと今回の内容がわかると思います。

1.学生さんの準備

まず、この相互評価をするにあたり、学生さんには「TEDトークで売り込め、自分のプロジェクト」という課題を与えました。評価するのは自分と同じ日本語学習者。自分のプロジェクトは他の日本語学習者にも効果的かどうか、効果的なプロジェクトだから是非やってみてくれーという売り込みです。TEDトークでは自分のBookcreatorの作品を見せながら、ビデオをとってもらいました。長さは10分以内。ビデオを作る際の条件や詳細はこんな感じです。

【状況】クラスメートは日本語が上手になりたい!

【目的】クラスメートに自分のプロジェクトを紹介しておすすめする

【タスク】英語で、7つの事をビデオで話す

【評価】クラスメート5人が評価(自分が誰が評価するのかはわかるが、誰にされるのかはわからない)評価が妥当かどうか先生も確認する

2.TEDトークの内容

TEDトークって知らないという方はこちらにサンプルがありますので見てください。これは私が学生さんにもシェアしてるTEDトークの一つで、「The secrets of learning a new language」。何か国語も話せる人達の外国語上達のコツが話されています。大体フォーマットが決まっているトークでしょうか。ちなみにクラスで リスニングなどに使いたい方はこんなテンプレもありますよ。

TED Talk Guide (shared)
TYPE HERE TYPE HERE TYPE HERE TYPE HERE TYPE HERE OPTION #1 OPTION #2 OPTION #3 TYPE HERE TYPE HERE TYPE HERE TYPE HERE ...

さてもとに戻りますが、TEDトークの中の質問は7つ、これを順番に話してビデオにするだけです。もちろん英語でOKです。

1.自分の日本語学習での課題/問題(例えばリスニングが苦手だなど)

2.具体的な勉強方法

3.難しかったことは何?

4.このプロジェクトのいい所は?

5.  自分のBookcreatorの作品をざっと紹介

6.自分が得たもの。成長したとこは何?

7.振り返り(プロジェクト終わった!さて、次、何する?)

このトークをBookcreatorの最初のページに張り付けてもらいました。

3.相互評価のやり方

基本的なやり方は、村上先生のこれをそのまま使いました。1)誰が誰を評価するのかもランダムに分けた表を作り、2)評価用のルーブリックのGoogle formを作り、3)5人評価なので、5回フォームを出してもらい、4)ピポットテーブルを使い点数をだしました。

むらログ: 相互評価の効率的な数値化日本語教師の仕事術mongolia.seesaa.net

ただ1点違うのは、評価者は匿名なんですが、誰を評価するかは実名にしました。というのもBookcreator をシェアしていて最初からもう名前が丸見えなんです。特に隠す必要もないかなと思いました。ただし誰が評価したかはわからないようになっていますし、それは絶対に誰にも言わないという約束になっています。もし自分の評価が気に入らないなら、私に言うように伝えました。

4.評価する人を伝える方法

評価する側もされる側にもひみつの名前を使わなかったので、フォーマットは同じなんだけど、内容がそれぞれ違うメールを一人一人に伝えなきゃいけませんでした。しかもこっそり。ZOOMで言うのもめんどくさいし、言って忘れても困るので、私はGmailのYMMMというサービスをGoogleSheetのAdd-onに入れてしました

Mail merge for Gmail – Yet Another Mail Merge – YAMMSend mass emails with Gmail. Reach the primary inbox, not proyamm.com

画像1

簡単に言うと、スプレッドシートに上記の情報をクラス人数入れ あらかじめ作っておいたテンプレで、一括送信ができるんです。つまりフォーマットは同じですが、内容が違うメールを一気に送れるという優れものです。学生さんにはそれぞれ評価しないといけない学生さんの名前がメールで届くというわけです。これはGメールからしか送れないので、私の大学のメールを使えず、メールがジャンクに入つてしまった子がいました。ただ、これ優れものは、開いたかどうかも確認できたり、返信があればまた色がついたりとか、色々機能がついてて便利です。

5.評価内容

私は誰が評価しても同じになるように、ルーブリックを使いました。それから、コメントも書いてもらいました。びっくりしたのは、本当に丁寧にみなコメントを書いたということです。例えばこんな感じ。

I really, really enjoyed your genius hour project! I thought it was super engaging and I loved listening to you explain it in your TED talk. I also really enjoyed hearing about the films you chose and how you implemented language learning into each individual one, especially “Swing Girls” and their specific accents. Fantastic work! 10/10 would try your concept!!

私もフィードバックでコメント書きますが、まず、この量!こんなに書かないです。もちろん評価提出フォームの中で、この内容は誰にも漏らさないこと、フェアーにちゃんと評価しましたという誓約に☑を入れてもらうんですが、それでもちょっとびっくりしました。もちろん、1行しか書かない子もいたんですが、それは全体の数パーセントでした。

 ただ、悪いコメントというか、キツイコメントも正直ありました。皆さんも学生さんにフィードバックを書くときは色々気をつけると思うんですが、悪い所をリストにして評価しても、受け取る側は悲しい気持ちになるだけで、なーんにも相手には伝わらないと思いませんか。受け取る側のメンタルが相当強いか、評価してもらう人を相当信用してるかじゃないとうまく伝わらないんじゃないかなと思います。この相互評価では、悪いことの伝え方というのが難しいんですね。だからって学生さんのコメントを編集するわけにもいかず、とりあえずルーブリックの点数だけを与え、納得いかない人や、評価コメントは読みたい人だけ私に連絡するようにしました。数名希望者がいましたが、皆点数に納得したのか特にコメントを求めてこなかったのでよかったと思います。ちなみに私がフィードバックに使っている方法はサンドイッチ法です。これは昔、カナダの大学でトーストマスターズというスピーチクラブに所属してた時に習った評価方法です。簡単に言うと、いいこと言って、悪いこと言って、いいこと言って占める。悪い具をいいパンで挟むと食べられるというわけです。この方法は今度学生さんにも伝えて相互評価をしてもらおうと思っています。

まとめ

ここまで5回にわたりGenius Hour Projectについて書いてきました。本当に学生さんの自立学習プロジェクト、まるなげプロジェクトなんですが、学生さんには好評で、大変だけど楽しいというコメントが多かったです。私も初めてで色々準備が大変でしたが、今もプロジェクトの事を話してくれる学生さんがいるのでやってよかったなと思いました。

最後になりましたが、特に教育機関に属して教えている先生は、シラバスがあり、スケジュールがあり、教科書があり、なんだか色々しがらみがあったり、日々予定に追われて教えていませんか。でも、そうしながらも、学生さんが自分で好きなように学べるプロジェクトを同時に与えるとクラスでもクラスの外でも学びが深まり、相乗効果があるなと思いました。それに教科書を超えて色々な日本語に触れてもらうと、学生さんのモチベーションアップにもつながるし、リアルマテリアルをガンガン使ってもらえます。まずは短い期間でもいいので、小さいプロジェクトを与えてみてもいいかなと思います。

読んでいただきありがとうございました。

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