みなさん、こんにちは。日本語教師のHinakoです。
Genius Hour Project(ジーニアスアワープロジェクト)の実践紹介。今回は学生さんがBookcreatorを使った作品を紹介したいと思います。ちなみに紹介している学生さんには掲載の許可を得ております。
これまでのプロジェクトに関する記事はこちらで紹介させていただきました。まだ読んでいない方は是非こちらから読んでいただくと今回の内容がわかると思います。
1.どんな作品をBookcreatorで作ったのか
ざっとしたリストの一部ですが、下記が学生さんたちの考えた自分のプロジェクト名です。
Exploring Japanese Cinema
The Beauty of Kabuki
Ikebana
Japanese ramen
My favorite JDM cars
元気がてる音楽
My favorite Japanese desserts
Japanese tradition and culture
A sad love song in Japanese
Japanese yokai
日本の世界遺産
Japanese design
ここで、改めて気がついたのは学生さんの興味というのは1つではないというところです。どうしても、日本のアニメやゲームが大好きだという学生さんが比較的多いので、ついついそういう授業をして盛り上がったと思ってしまいますが、実はそういう子ばかりではないはずです。日本の車、音楽や、デザイン、歌舞伎などの伝統的文化に興味がある子もいれば、ラーメン大好き、今回は妖怪大好きなんて子もいました。クラスメートの作品をみて、新たに〇〇に興味を持ちました!という子もいたぐらいですから、学生さん視野が広がって 色々な面から日本に興味を持つきっかけになったようです。
2. Bookcreatorでの作品作りについて注意事項
ここからは一部ですが、作品紹介をしていきますその前にちょっと注意事項を話しておきます。Bookcreatorはラッキーなことに、今回は全員問題なく使え、特に大きな使い方の説明もせず、触るだけでほぼ基本操作をこなしていました。しかし、そういう子ばかりでもないかもしれません。一人中国からの学生さんがアクセスできない例が今学期ありましたから、学生さんのPC環境を確認することをおすすめします。またデジタルネイティブだからといって、ITが苦手な子もいますから、チュートリアルビデオを見せるのも忘れないようにしないといけませんね。
3. 日本映画で学んだ学生さんの作品紹介
日本の映画やドラマを見るのが大好きなAさん。まず、彼女が見たのは、Swing Girls「スイングガールズ」という映画。自分でセリフを真似して、録音しています。ここの映画では方言が使われてますが、それを上手に真似ています。学生さんと話したところ、「あじの南蛮漬け」が全然聞きとれず、かなり繰り返しきいたといっていました、いやー私でもわかるかなといった感じです。音声つきのBookcreatorはこちらから。上手になまってます。
別の子は「グットドクター」を全話見た学生さん。この子は、上記の学生さんのようにセリフのマネをするのではなく、セリフをノートに書き出していました。医療の専門用語のディクテーションですから、何度聞いたことかしれません。また漢字もとてもむずかしいのにがんばって書いてくれました。こういうドラマや映画で学ぶ子は、一部を何度も何度も(かなりの回数)聞いて勉強する傾向が見られました。
4. ラーメン大好きな学生さんの作品紹介
とにかく日本のラーメンが大好き。この学生さんは実際のラーメン屋さんに行ってレビューを日本語で書いてました。ラーメンをたくさん食べられるからすばらしいプロジェクトだなんて言ってましたが、この学生さんのプロジェクトは語彙がポイント。「食感」「風味」「こってり」なんて初級の日本語にはでてきませんよね。色々、他のレビューもたくさん読んで参考にしたようです。
5. マンガを描くのが好きな学生さんの作品紹介
マンガを読むプロジェクトは結構ありました。日英を比較して、 フォントが違うやら、色々気づいたところはあるようです。しかし、この学生さんのようにマンガを描くのが好きで、同じようにコピーしながら、オノマトペを学んだりしたようです。フリーのソフトを使って描いたとのことですが、自分の好きなことが、プロジェクトになるなんて嬉しすぎると喜んでいたのを覚えています。
6. まとめ
教師は教えたことを評価するのが一応基本だとは思うんですが、クラスで教えられる事っていうのは限界があります。しかも、それが必ずしも学生さんが学びたいことじゃないかもしれないし、カリキュラム上の決まりで教えなきゃいけないこともありますよね。
このプロジェクトは彼らが自分で考えて、何を学びたいか選択し、そこから、その学びを自分で整理して分析する。とてもクラスでは教えられません。でもこういう自分で考えたものというのは記憶に残りやすいし、クラスで教えられないこともどんどん吸収してきます。「なるほどー」「そうきたかー」と彼らの気づきには感心させられました。何よりうれしかったのが、このプロジェクトをきっかけに、本を読むのが好きになり、大学の日本語プログラムのJLC( Japanese Literacy Club)に入ってくれた子が何人か出たことです。
教科書を超えたプロジェクト!こんな素晴らしい作品も作ってくれますよ。おすすめです。