こんにちは、日本語教師のHInakoです。
最近、AI音楽生成ツールを使って、日本語学習者向けの漢字学習動画を作りはじめました。
というのも時間がかかるので去年作成した、「曜」という漢字を覚えるための短い動画を最後に放置状態です。
漢字学習で学生が苦労すること
日本語教師として長年教えてきましたが、初級学習者は本当にたくさんのことを同時に学ばなければなりません。
- ひらがな
- カタカナ
- 語彙
- 文法
- 活用
- 会話
- 聞き取り
- 漢字
教師としては、
「部首を覚えましょう」
「書き順も覚えましょう」
「漢字の成り立ちも理解しましょう」
と言いたくなります。
もちろん、それらはどれも大切です。
しかし、初級レベルの学生にとっては、それだけでもかなりの情報量です。

特に日本語を母語としない学習者にとって、漢字は文字というよりも複雑な絵や模様のように見えていることがあります。
私たち日本語母語話者は漢字を自然に認識していますが、学習者はまだその構造が見えていません。
その状態で部首や書き順などのルールを一度に教えると、漢字がさらに難しいものになってしまうことがあります。
「今見えている形」にフォーカスする
そこで最近試しているのが、
まず学習者が今見えている形にフォーカスする
というアプローチです。
学習者が漢字の中に見つけるものは人によって異なります。
ある学生はカタカナを見つけます。
ある学生はアルファベットを見つけます。
また別の学生は絵や身近な物を見つけます。
私はそうした見方を否定せず、むしろ積極的に利用しています。
なぜなら、最終的な目標は部首の名前を覚えることではなく、漢字を見たときに思い出せるようになることだからです。
まずは、
「何か見える」
「形に意味を見つける」
という経験を積み重ねることが大切だと考えています。
「曜」をどう覚える?
今回の動画では、「曜」という漢字を部首で説明するのではなく、学習者が見えている形を利用して覚えることを試みました。
実際の歌詞はこちらです。覚え方は私が考えて、ChatGPTに歌詞をかいてもらいました。
The sun (“日”) starts the day
Two “Yo”s on display
Katakana “イ” and “ノ”
A “T” you know
Three lines (“三”) to show
Now “You” (曜) will glow!
日本語母語話者から見ると少し不思議に感じるかもしれません。
しかし、日本語学習者にとって漢字は必ずしも「部首の組み合わせ」には見えていません。
むしろ、
- 日 → The Sun
- ヨ → カタカナの「ヨ」
- ヨ → もう一つの「ヨ」
- イ → カタカナの「イ」
- ノ → カタカナの「ノ」
- T → アルファベットのT
- 三 → 三本線
のように見えていることがあります。
そこで今回は、その見え方をそのまま利用しました。
まず「日」。
次に「ヨ」が二つ。
そして「イ」と「ノ」。
さらにアルファベットの「T」。
最後に三本線。
これらを順番に見ていくことで、複雑に見える「曜」が、覚えられる形へと変わっていきます。
Murekaで漢字ソングを作る
今回の動画の音楽はMureka.Aiを使って作成しました。
歌詞を入力するだけで、教育用の短い楽曲を比較的簡単に作ることができます。
今回のような教材では、
「この言葉を聞かせたい」
「この順番で覚えてほしい」
という意図があります。
そのため、音楽の完成度だけではなく、歌詞の伝わりやすさも重要になります。
他のAI音楽生成ツールも試してみた
1年前はMurekaを使用しましたが、同じような歌詞で他のAI音楽生成ツールも試してみました。
AI音楽生成ツール比較
| ツール | 特徴 | 教材用途での印象 |
|---|---|---|
| Mureka | 歌詞を入力して楽曲生成 | 歌詞を比較的忠実に歌うため教材向き |
| Suno | 非常に高品質な音楽を生成 | 楽曲としての完成度が非常に高い |
| Gemini Create Music | Googleの音楽生成機能 | 気軽に試せるが歌詞の再現性は要検証 |
※無料プランや生成回数は変更される可能性があるため、利用時には各サービスの公式サイトをご確認ください。Sunoは無料は1日10曲まで、Murekaは無料ではもうダウンロードできなくなってました。昔はできたんですが。
Suno
Sunoでも同じような歌詞を使って作成してみました。参考までに載せておきます。
率直な感想としては、
音楽の完成度は非常に高い
です。
伴奏も自然で、ボーカルも洗練されており、今回試したツールの中では最もプロフェッショナルな印象を受けました。
一方で、日本語教育の教材として考えると、
「音楽として美しいこと」
だけではなく、
「学習者に聞かせたい言葉がきちんと伝わること」
も重要になります。音楽が良すぎて歌詞が入ってこない。
その意味では、教育目的では音楽性と歌詞の伝わりやすさの両方を考える必要があると感じました。
Gemini Create Music
最近GeminiにもCreate Musicという機能が登場したので試してみました。
第一印象としては、
「思ったより悪くない」
です。
曲としては十分楽しめるレベルだと思います。今回は「時」という漢字で作ってみました。動画でも音声だけでも簡単にダウンロードできますが、動画は静止画でした。
ただし、教材として見ると、入力した歌詞をそのまま忠実に歌うというよりは、AIが音楽として自然になるように解釈している印象を受けました。
そのため、
「この漢字を覚えさせたい」
「この単語を必ず聞かせたい」
という教材用途では、まだまだ工夫や検証が必要そうです。
まだまだ実験中です
AI音楽生成はここ数年で急速に進化しています。
教師が作曲家でなくても、自分の授業に合わせたオリジナル教材を作れる時代になりました。
今回作成した漢字分解ソングも、その可能性を探るための小さな実験の一つです。
今後は、
- 漢字分解ソング
- 語彙ラップ
- 文法ソング
- 会話ソング
なども作りながら、どのような形が学習者にとって効果的なのか検証していきたいと思います。
部首や書き順を学ぶことももちろん大切です。
しかしその前に、
「漢字の中に何か見える」
「この漢字、なんだか覚えられそう」
と思ってもらうことも同じくらい大切なのではないかと感じています。
AI音楽生成を日本語教育でどのように活用できるのか。
これからも色々な方法を試しながら、実践結果を共有していきたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。

